
給湯器からお湯が出ない。
トイレの水が止まらず、床へじわじわ広がっている。
マンション設備の故障は突然起こります。その場で「自分の責任かもしれない」「勝手に修理業者を呼んでよいのだろうか」と迷う人も少なくありません。
しかし、最初に判断すべきなのは責任や費用ではなく、安全を守るための行動です。
基本の順序は次のとおりです。
安全確保 → 被害拡大防止 → 記録 → 連絡 → 手配内容の確認
ただし、火災、ガス漏れ、感電、閉じ込めてなど、人命に関わるおそれがある場合は、記録より避難や通報を優先してください。
この記事は賃貸マンションの入居者を中心に、分譲賃貸の入居者や区分所有者について、連絡先や費用負担が異なる点も説明します。
被害が今も続いている場合は、最初に「マンション設備故障時の30秒判断表」を確認してください。
すでに被害を止め、安全が確保できている場合は、該当する設備の説明や「マンション設備の修理費と保険と事後対応」から読めます。
故障発生中の初動だけでなく、管理会社への伝え方、外部業者を呼べる条件、修理費、保険、家賃、修理完了後の確認まで扱う保存版です。
マンション設備故障時の30秒判断表
この表は、詳細本文を読まなくても、危険な操作を避けて最初の連絡先を判断できる内容にしています。
| 状況 | 最初にすること | してはいけないこと | 主な連絡先 |
|---|---|---|---|
| 炎・煙・火花・負傷者・差し迫った感電の危険がある | 設備から離れ、安全な場所へ避難する | 設備へ近づく・原因を調べる・電源やブレーカーを操作する | 119番。安全確保後に管理会社や貸主 |
| 焦げ臭さ・異常発熱があるが炎や煙は確認できない | 使用を中止して設備から離れる。煙・火花・炎が生じた場合や、負傷者・差し迫った感電の危険がある場合は避難する | 設備へ近づく・分解する・繰り返し電源を入れる | 火災や感電の危険が差し迫っている場合は119番。それ以外は管理会社の緊急受付窓口 |
| ガス臭がする | 火気と電気スイッチに触れず、臭いの強弱にかかわらず緊急窓口へ連絡する。強い臭い・体調不良・爆発の危険を感じたら屋外へ避難する | 換気扇・照明・インターホン・コンセントを操作する。火を使う。ガスメーターを復帰する | ガス漏れ専用の緊急窓口。火災・爆発・負傷者がいる場合は119番 |
| 水が分電盤・コンセント・家電・配線へ触れている | 設備から離れる。煙・火花・焦げ臭さがある場合は119番へ連絡する | 水へ近づく。濡れた手でプラグやブレーカーを操作する。電気を復旧させる | 差し迫った危険は119番。危険な兆候がなければ管理会社の緊急受付窓口 |
| エレベーターに閉じ込められた | 非常ボタンやインターホンで救出を求める | 扉を無理に開ける・自力で脱出しようとする | かご内に表示された保守窓口。けが人や体調不良者がいる場合は119番 |
| 漏水が広がっている | 水濡れ箇所や電気設備を避け、止水栓や元栓へ安全に近づける場合だけ止水する | 水が電気設備へ触れている場所へ近づく。固い止水栓を無理に回す | 管理会社の緊急受付窓口。つながらず被害が続く場合は応急作業に限って外部業者を検討 |
| トイレから汚水があふれている | 水を流すのをやめる。安全に近づける場合だけ止水栓を閉める | もう一度水を流す。滑る床や汚水の中へ入る。固い止水栓を無理に操作する | 管理会社の緊急受付窓口。つながらず汚水被害が続く場合は外部業者を検討 |
| 危険や被害拡大はないが設備が使えない | 症状・発生日時・型番・エラー表示を安全な位置から記録する | 設備を分解する。管理会社へ確認せず交換工事を依頼する | 管理会社の通常受付窓口または貸主 |
共通する安全条件
止水栓、元栓、ブレーカー、電源プラグ、ガス栓などの操作は、安全に近づいて無理なく操作できる場合に限ります。
水濡れ、煙、火花、異臭、異常発熱、滑りやすい床、汚水、割れたガラスなどがある場合は、設備へ触れないでください。
ここでいう「危険が強まった場合」とは、煙、火花、炎が生じた場合、負傷者がいる場合、差し迫った感電の危険がある場合などです。
危険を感じる場合は、自分で被害を止めようとせず、避難や119番、ガス漏れ専用の緊急窓口、管理会社の緊急受付窓口への連絡を優先してください。
人命に関わる危険がある場合は、管理会社より先に119番、ガス漏れ専用の緊急窓口、該当設備の保守窓口へ連絡します。
一方、漏水などが続き、管理会社につながらず、待つ間にも床、壁、階下などへ被害が広がる場合に限り、居住者が外部業者へ応急作業を依頼することがあります。
危険も被害拡大もない場合は、管理会社の通常受付窓口や貸主へ連絡し、修理の進め方を確認してください。
電話番号が分からないときは、賃貸借契約書、入居案内、エントランス掲示、管理アプリの順に確認します。
マンション設備が故障したときに今すぐすること
この章は、故障や被害が現在も続いている人向けです。
「何か触らなければ」と焦るかもしれません。とはいえ、危険な設備へ近づくと、感電や火災などの二次被害につながる可能性があります。
まず安全な位置から、火、煙、異臭、水漏れ、電気設備への水濡れがないか確認してください。
火災や感電の危険から離れる
炎、煙、火花、負傷者、差し迫った感電の危険がある場合は、設備から離れてください。
火災が発生している場合、または人命に関わる危険が差し迫っている場合は、119番へ連絡します。
管理会社への電話を先に行う必要はありません。
安全な場所へ避難し、消防への通報を優先してください。その後、周囲の安全が確保できた段階で、管理会社や貸主へ事故を報告します。
焦げ臭さや異常発熱だけがあり、炎、煙、火花などを確認できない場合も、設備の使用を中止して離れてください。
煙や火花が出る、炎が見える、けが人が出る、感電の危険が差し迫るなど、危険が強まった場合は119番へ連絡します。
差し迫った危険が確認できない場合も、原因を確かめようとして分電盤や設備へ近づく必要はありません。安全な位置から状況を確認し、管理会社の緊急受付窓口へ伝えてください。
照明がつかない、家電が動かないというだけで、直ちに119番へ連絡するわけではありません。
ただし、安全が確認されていない状態で、電源やブレーカーを繰り返し操作しないでください。
ガス臭がするときは電気スイッチに触れない
ガス臭を感じたら、電気スイッチや火気を使用してはいけません。
照明、換気扇、インターホン、コンセントも操作しないでください。「換気しなければ」と思って換気扇を回す行為も危険です。
臭いが強い、体調不良がある、爆発や火災の危険を感じる場合は、何も操作せず屋外へ避難します。
換気扇・照明・ガスメーター復帰の操作は火花引火の危険あり!
安全に行える場合に限り、電気スイッチへ触れず、窓や戸を手で開けてください。器具栓やガス栓も、安全に操作できる場合だけ閉めます。
その後、検針票、ガスメーター周辺、契約書、館内掲示などに記載されたガス漏れ専用の緊急窓口へ連絡してください。
契約しているガス小売事業者と、ガス漏れに対応する緊急窓口が異なる場合があります。都市ガスとLPガスでも連絡先が異なるため、契約資料などに記載された緊急窓口を優先します。
臭いの強弱にかかわらず、ガス臭を感じた場合は緊急窓口へ連絡してください。
火災、爆発、負傷者がいる場合は119番にも連絡します。
管理会社への報告は、安全確保とガス漏れ専用の緊急窓口への連絡後で構いません。
ガス臭があるときは、ガスメーターの復帰操作をしません。
安全装置によってガスが止まっただけの場合の復帰操作とは、対応が異なります。
水が電気設備へ触れているときは近づかない
水が分電盤、コンセント、家電、配線へ触れている場合は近づかないでください。
濡れた手でブレーカーや電源プラグを操作すると、感電するおそれがあります。
煙、火花、焦げ臭さなど、火災や感電の危険が差し迫っている場合は、設備から離れて119番へ連絡してください。
そうした兆候がなくても、安全な場所へ移動します。
次に管理会社へ状況を伝え、電気工事に対応できる業者の点検を手配してもらってください。
指定業者を案内された場合は、その業者へ依頼します。電気工事業者を直接手配するよう案内された場合は、作業範囲と費用を確認してから依頼してください。
煙や火花などはないものの、管理会社につながらず、水濡れによる危険な状態が続いている場合は、後述する外部業者の章に沿って、電気工事に対応できる業者による応急作業を検討します。
安全が確認されていない状態で、ブレーカーや電源プラグを操作してはいけません。
エレベーターに閉じ込められたときは救出を求める
無理に扉を開けようとせず、かご内の非常ボタンやインターホンを使用してください。
表示されている保守窓口へ連絡し、救出を求めます。
けが人や体調不良者がいる場合は119番にも連絡してください。
管理会社への報告は、救出要請の後で問題ありません。
安全にできる範囲で被害を止める
被害が現在も進んでいる場合は、安全にできる範囲で拡大を防ぎます。
安全に操作できる場合に限り、漏水箇所の止水栓や住戸の元栓を閉めてください。
排水が逆流している場合は、水の使用を止めます。
窓の破損部から雨水が入り続けている場合は、安全な範囲で家具や家電を移動してください。
止水や使用停止を安全に行える場合は、被害拡大を抑えられる可能性があります。
ただし、設備へ近づくことや操作に危険を感じる場合は中止し、管理会社の緊急受付窓口へ連絡してください。
一人で対応している場合は、安全確保を優先したうえで連絡します。
ほかに安全な場所にいる人がいる場合は、止水などの応急対応と緊急受付窓口への連絡を分担できます。
故障時にしてはいけない行動
| 状況 | してはいけないこと |
|---|---|
| ガス臭がする | 火気や電気スイッチを使用する |
| 水が電気設備に触れている | 濡れた手でブレーカーやプラグを操作する |
| トイレがあふれそう | もう一度水を流す |
| 給湯器や分電盤に異常がある | カバーを開けて分解する |
| 原因や費用が分からない | 管理会社へ確認せず高額な交換工事を依頼する |
設備の内部を分解したり、危険な状態で電源を操作したりする必要はありません。
原因を調べるより、危険を増やさないことを優先してください。
被害が止まったら写真と時刻を記録する
安全を確保し、被害を止めた後は、片付けを始める前に写真や動画を残してください。
最初に部屋全体を撮り、その後で故障箇所を撮影します。
漏水の場合は、水が出ている場所だけでなく、床、壁、天井、家具、家電へ広がった範囲も記録してください。
設備本体の型番、エラー表示、メーター、止水栓、ブレーカーの状態も撮影します。
ただし、撮影のために危険な場所へ近づいてはいけません。異音、警報音、水の勢いは、安全な位置から動画で残せる場合に限って記録します。
写真や動画は、撮影日時が分かる状態で保存してください。
発見時刻、止水した時刻、管理会社へ連絡した時刻もメモに残します。
原因を自分で断定すると、誤った前提で修理や費用の話が進む可能性があります。見た症状と、実際に行った対応を記録してください。
被害家財や故障部品を処分しない
故障した部品や、被害を受けた家具や家電は、処分する前に写真を残してください。
保険会社や管理会社が、被害状況や故障原因を確認するために、現物や写真を求める場合があります。
確認を受ける前に処分すると、被害の範囲や原因を説明しにくくなることがあります。
ただし、汚水で汚染された物、腐敗した食品、割れたガラスなど、衛生上または安全上の危険がある物は安全を優先してください。
危険な物へ無理に触れる必要はありません。安全な位置から全体と損傷部分を記録し、管理会社や保険会社へ処分方法を確認します。
設備別の応急対応と管理会社への伝え方
設備が違っても、基本は安全確保、被害拡大防止、記録、連絡です。
以下では、冒頭の共通安全条件を設備ごとの状況へ当てはめます。
給湯器、水漏れ、トイレ、停電、インターホン、エアコンごとに、危険がある場合、安全に確認できること、管理会社へ伝える内容、外部業者を検討する条件を説明します。
給湯器が故障してお湯が出ない場合
給湯器に異常がある場合は、設備名だけで連絡先を決めず、ガス漏れ、火災の発生、火災を疑う兆候、機器故障のどれに当てはまるかを確認してください。
火気・電気スイッチ操作厳禁。ガスメーター復帰も不可。
分解不要。型番とエラーコードを安全位置から控え管理会社へ。
ガス臭がある場合
ガス臭がある場合は、火気や電気スイッチへ触れてはいけません。
照明、換気扇、インターホン、コンセントも操作せず、ガス漏れ専用の緊急窓口へ連絡してください。
臭いが強い、体調不良がある、爆発の危険を感じる場合は、何も操作せず屋外へ避難します。
火災、爆発、負傷者がいる場合は119番にも連絡してください。
ガス臭がある状態で、コンロへの点火やガスメーターの復帰操作を試してはいけません。
黒煙・炎・火花がある場合
黒煙、炎、火花などがあり、火災が発生している、または人命に関わる危険が差し迫っている場合は、給湯器から離れて安全な場所へ避難してください。
その後、119番へ連絡します。
管理会社や貸主への報告は、安全を確保した後で行ってください。
焦げ臭さ・異常発熱だけがある場合
焦げ臭さや異常発熱があるものの、黒煙、炎、火花を確認できない場合も、給湯器の使用を中止して離れてください。
原因を確認するために、給湯器へ近づいたり、カバーを開けたり、電源を繰り返し入れたりする必要はありません。
煙、火花、炎が生じた場合、負傷者がいる場合、差し迫った感電の危険がある場合は、119番へ連絡します。
差し迫った危険が確認できない場合は、管理会社や貸主へ状況を伝え、点検業者の手配を依頼してください。
異常音やエラー表示だけの場合
ガス臭、黒煙、炎、火花、焦げ臭さ、異常発熱がなく、異常音やエラー表示だけがある場合は、給湯器の使用を中止してください。
安全な位置から、エラーコード、メーカー、型番を確認して記録します。
カバーを外したり、内部を分解したりする必要はありません。
操作を伴わない範囲で、水道や電気が通常どおり使えるかを確認できます。
ただし、ほかのガス機器の状態を調べるために、コンロなどを新たに点火する必要はありません。
管理会社へ伝えること
危険や被害拡大がない場合は、管理会社や貸主へ連絡してください。
ガス臭の有無、黒煙や炎の有無、焦げ臭さ、異常発熱、異常音、エラーコード、型番を伝えます。
点検業者の手配方法と訪問可能日時も確認してください。
マンションで水漏れが起きた場合
安全に操作できる場合
水濡れ箇所や電気設備を避け、床が滑らず、止水栓や元栓へ安全に近づける場合に限り、止水栓や住戸の元栓を閉めてください。
操作しない場合
水が分電盤、コンセント、家電、配線へ触れている場合は近づいてはいけません。
床が滑る、割れた物がある、止水栓が固い、安全な姿勢で操作できない場合も、無理に止水しないでください。
管理会社へ伝えること
階下への漏水が疑われる場合は、管理会社へ必ず伝えてください。
直接階下へ知らせる場合も、責任や補償をその場で断定しません。
「自室で漏水があり、管理会社へ連絡しています。念のため室内の状況をご確認ください」と、事実だけを共有します。
深夜や対人トラブルの懸念がある場合は、管理会社や管理員を介して連絡してください。
外部業者を検討する条件
管理会社につながらず漏水が続き、待つ間にも床、壁、階下などへ被害が広がる場合は、「管理会社につながらず外部業者を呼ぶ場合」に沿って、被害を止めるための応急作業を検討します。
トイレが詰まった場合や水が止まらない場合
汚水あふれ時は再度流さず止水。固い場合は無理に力任せで回さない。
安全に操作できる場合
汚水が広がっておらず、床が滑らず、電気設備が近くになく、止水栓へ安全に近づける場合に限り、止水栓を閉めてください。
操作しない場合
次の状況では、無理に止水栓を操作しません。
- 汚水が床へ広がっている
- 床が滑る
- コンセントや電気設備が近くにある
- 止水栓へ安全に近づけない
- 止水栓が固く無理な力が必要になる
- 姿勢を崩すおそれがある
詰まりが疑われるときは、もう一度水を流してはいけません。「一度だけなら」と流すと、一気があふれる可能性があります。
管理会社へ伝えること
管理会社へは、水が流れないのか止まらないのか、便器内の水位、止水できたか、異物を流した可能性があるかを伝えてください。
住戸内にトイレが一つしかない場合は、その事情も説明します。
外部業者を検討する条件
汚水があふれ続けている場合は、設備が使えないだけではなく、被害が拡大している状態です。
管理会社につながらず、待つ間にも汚水被害が広がる場合は、外部業者の章に沿って応急作業を検討してください。
停電やブレーカーに異常がある場合
危険がある場合
焦げ臭さ、煙、火花、異常発熱がある場合は、ブレーカーを操作してはいけません。
水濡れや浸水後に停電した場合も、安全を確認せず電気を復旧させないでください。
火災や感電の危険が差し迫っている場合は119番を優先します。
安全な位置から確認すること
設備へ近づいたり操作したりせず、安全な位置から、自室だけの停電か、共用廊下や周辺地域も停電しているかを確認してください。
共用部分の照明や近隣の状況を確認するために、暗い場所や危険な場所へ移動する必要はありません。
水濡れ、異臭、発熱などがなく、家電やコンセントへ安全に近づける場合に限り、使用中だった家電のスイッチを切ります。
安全を確認できない場合は、プラグやブレーカーへ触れないでください。
管理会社へ伝えること
管理会社へ、自室だけの停電か、共用部分にも影響があるか、異臭、煙、火花、水濡れがあるかを伝えてください。
管理会社には、電気工事に対応できる業者の点検を手配してもらいます。
指定業者を案内された場合は、その業者へ依頼してください。電気工事業者を直接手配するよう案内された場合は、作業範囲と費用を確認してから依頼します。
外部業者を検討する条件
煙や火花など、火災や感電の差し迫った兆候はないものの、管理会社につながらず、水濡れによる危険な状態が続く場合は、外部業者の章に沿って、電気工事に対応できる業者による応急作業を検討してください。
インターホンが使えない場合
安全な場合に確認すること
焦げ臭さ、煙、異常発熱などがない場合に、画面が映らないのか、音が聞こえないのか、解錠操作ができないのかを確認してください。
ほかの住戸でも同じ症状が出ている場合は、共用設備側に不具合がある可能性があります。
自分で交換しない
市販品へ自分で交換すると、オートロックや火災報知設備と接続できない場合があります。
管理会社へ型番と症状を伝え、指定機種や指定業者の有無を確認してください。
危険や被害拡大がない場合は、管理会社の通常受付窓口から修理手配を確認します。外部業者を急いで呼ぶ必要は通常ありません。
エアコンが故障した場合
危険がある場合
異臭、煙、異常発熱、水漏れなどがある場合は、設備へ近づいて操作しないでください。
水がコンセントや配線へ触れている場合は、ブレーカーや電源プラグにも触れません。
安全な場合に確認すること
安全上の異常がない場合に限り、リモコンの表示やエラーコードを確認してください。
リモコンの電池を交換できる場合もありますが、分電盤や専用ブレーカーの確認は、安全に近づける場合に限ります。
管理会社へ伝えること
賃貸では、貸主設備か残置物かによって修理の扱いが異なります。
型番、エラー表示、異臭、水漏れの有無を管理会社へ伝えてください。
猛暑や厳寒時は、設備の種類だけで緊急度を判断しません。
乳幼児、高齢者、持病のある人、ペットがいる場合は、その状況も管理会社へ伝えます。
体調不良がある場合は、設備修理より医療機関への相談を優先してください。
危険や被害拡大がない場合は、外部業者を急いで呼ばず、管理会社や貸主へ修理手配を確認します。
管理会社への連絡と修理手配
この章は、安全を確保し、設備の症状を記録した人向けです。
自分の契約形態を確認し、管理会社へ伝える内容や、修理業者の手配方法を整理します。
契約形態別の連絡先
賃貸入居者、分譲賃貸の入居者、区分所有者では、連絡先と確認資料が異なります。
| あなたの立場 | 室内の設備 | 共用設備や原因不明の故障 | 主に確認する資料 |
|---|---|---|---|
| 賃貸入居者 | 賃貸管理会社・貸主 | まず賃貸管理会社。必要に応じて建物管理側 | 賃貸借契約書・入居案内 |
| 分譲賃貸の入居者 | 賃貸管理会社・貸主 | 賃貸管理側と建物管理側の双方 | 契約書・館内案内 |
| 区分所有者 | メーカー・修理業者など | 建物管理会社・管理組合 | 管理規約・区分表 |
賃貸入居者の連絡先
賃貸入居者は、賃貸借契約書に記載された賃貸管理会社や貸主へ連絡します。
24時間サポートへ加入している場合は、専用の緊急受付窓口が指定されていることもあります。
契約時の仲介会社が、現在も管理や修繕受付を担当しているとは限りません。
賃貸借契約書、重要事項説明書、入居案内を確認し、管理会社、貸主、修繕窓口と記載された連絡先を探してください。
分譲マンションの区分所有者の連絡先
分譲マンションでは、故障箇所が専有部分か共用部分かによって窓口が変わります。
エレベーター、オートロック、共用給水ポンプなどは、建物管理会社、管理員、管理組合、緊急受付窓口が主な連絡先です。
室内の専有設備であれば、区分所有者がメーカーや修理業者を手配する場合があります。
室内の専有設備は、原則として区分所有者が管理し、費用を負担します。
ただし、室内にある配管、窓、玄関扉、インターホンなどが、すべて専有部分とは限りません。
実際の管理区分は、管理規約、区分表、設備構造を確認してください。
また、管理会社は故障の受付や業者手配を担当していても、当然に修理費を負担する主体ではありません。
管理組合、区分所有者、原因者のうち誰が負担するかは、管理規約、設備の管理区分、故障原因などを確認して判断します。
国土交通省のマンション標準管理規約は、各マンションが規約を作成するときの規約例です。自分のマンションへそのまま適用されるものではありません。
現在使われている管理規約や区分表を確認してください。
分譲賃貸の入居者の連絡先
分譲マンションの一室を借りている場合は、賃貸管理会社と建物管理会社の両方が関係することがあります。
給湯器や備え付けエアコンなどの貸主設備は、賃貸管理会社や貸主へ連絡してください。
一方、共用配管、オートロック、エレベーターなどは、建物管理会社や管理組合が対応する可能性があります。
天井からの漏水など、原因が専有部分か共用部分か分からない場合は、双方へ状況を共有します。
夜間や休日の連絡先
夜間や休日は、賃貸借契約書、入居案内、エントランス、管理員室、管理アプリなどから、契約書等に記載された緊急受付窓口を探してください。
火災、ガス臭、感電、閉じ込めの場合は、管理会社より先に119番、ガス漏れ専用の緊急窓口、該当設備に表示された保守窓口へ連絡します。
メールやアプリは記録を残すのに適しています。
ただし、緊急時はすぐ確認されるとは限らないため、電話も併用してください。
管理会社へ伝える7項目
管理会社へ連絡するときは、次の七項目を整理します。
1 氏名と物件情報
氏名、マンション名、棟、号室、折り返し電話番号を伝えてください。
分譲賃貸の場合は、賃借人であることも説明します。
2 発生日時
故障を発見した日時を伝えます。
発生した瞬間を見ていない場合は、最後に正常に使えた時刻も説明してください。
3 故障した場所
「水回り」だけでは、状況が伝わりにくくなります。
「洗面台下の給水管」など、できるだけ具体的に伝えてください。
4 現在の症状
使えない、止まらない、異音がする、臭いがする、水が漏れるなど、見たままを説明します。
原因を自分で断定する必要はありません。
「経年劣化だと思います」ではなく、「洗面台下の接続部分から水滴が落ちています」と伝えてください。
5 危険や被害の有無
火、煙、ガス臭、けが、感電の危険、階下への影響がある場合は必ず伝えます。
6 行った応急対応
止水、使用停止、家財移動などを行った場合は、その内容を説明してください。
7 求める回答
管理会社の指定業者を手配できるか、いつ連絡が来るか、どこまで作業してよいかを確認します。
費用の支払方法と、精算方法をいつ確認できるかも聞いてください。
故障原因が未確定であれば、その場で最終的な費用負担の回答が出ない場合もあります。
管理会社につながらない場合の再連絡方法
管理会社から折り返しが来ない場合は、最初の受付内容を整理します。
担当者名、受付番号、折り返し予定時刻が分かれば、対応状況を具体的に確認できます。
再連絡では、次のように説明してください。
「本日○時○分に受付番号○○で漏水を報告しました。
○時までに管理会社の指定業者から折り返すとの回答でしたが、現在も連絡がありません。
漏水は継続しており、床の被害が広がっています。
手配状況と、次に回答いただける時刻を教えてください」
管理会社の緊急受付窓口につながらない場合は、代表番号、通常担当部署、管理員へ連絡します。
賃貸では貸主にも報告してください。分譲では、管理規約や館内案内に記載された管理組合の連絡先も確認します。
電話だけでなく、メールや管理アプリにも同じ内容を送り、送信日時を残してください。
被害が広がっておらず、安全上の危険もない場合は、外部業者を急いで手配する必要はありません。
管理会社と連絡がつくまで、状況と送信記録を保存します。
漏水時の電話テンプレート
「○○マンション○棟○号室の○○です。賃借人です。
本日○時頃、洗面台の下から水が漏れていることに気づきました。
現在は住戸の元栓を閉めており、水は止まっています。
火、煙、ガス臭、けが人はありません。
洗面所の床が濡れており、階下への影響は確認できていません。
写真と動画を撮影しています。
点検や必要な応急作業が可能な指定業者を手配いただけるか教えてください。
担当者名、受付番号、折り返し予定時刻、費用の支払方法と精算方法をいつ確認できるかも教えてください。
私の電話番号は○○です」
電話の最後には、担当者名、受付番号、折り返し時刻を復唱します。
「後ほど連絡します」と言われた場合は、「本日何時頃までに連絡をいただけますか」と確認してください。
給湯器停止時のメールテンプレート
件名
【設備故障】○○マンション○棟○号室 給湯器停止 ○月○日発生
本文
○○管理株式会社
ご担当者様
○○マンション○棟○号室の賃借人○○です。
本日○月○日○時頃、給湯器が作動せず、お湯が出ない状態を確認しました。
給湯器のリモコンには、エラーコード○○が表示されています。
ガス臭、煙、焦げ臭、異常発熱、異常音はありません。
水と電気は使用できます。
給湯器本体、型番、エラー表示の写真を添付します。
指定業者の有無、点検業者の手配可否、訪問可能日時、応急作業の有無、費用の支払方法と必要な場合の精算方法についてご回答ください。
氏名
電話番号
在室可能日時
以上、よろしくお願いいたします。
設備故障の連絡記録表
連絡中にそのまま使えるよう、記録表をこの章へ置きます。
| 日時 | 連絡先と担当者 | 伝えた内容 | 回答と期限 | 次の行動 |
|---|---|---|---|---|
| ○月○日 21時05分 | 緊急受付窓口・田中氏 | 洗面台下の漏水と止水済みを報告 | 受付番号A12345・21時30分までに折り返し | 連絡を待つ |
| ○月○日 21時35分 | 緊急受付窓口・佐藤氏 | 折り返しがないことを報告 | 手配状況を確認・21時50分までに回答 | メールも送る |
| ○月○日 22時10分 | 指定業者・鈴木氏 | 現場状況を説明 | 23時頃に訪問予定 | 作業範囲と料金を確認する |
記録を残した後は、次に行うことを決めてください。
「折り返しを待つ」「再連絡する」「写真を送る」「保険会社へ連絡する」など、次の行動を明確にします。
管理会社につながらず外部業者を呼ぶ場合
管理会社につながらないだけでは、外部業者を呼ぶ条件になりません。被害が現在も広がっている場合に、応急作業へ限定して検討します。
この章は、管理会社へ連絡を試みてもつながらず、漏水などの被害が現在も広がっている人向けです。
危険や被害拡大がない場合、この章の対応は必要ありません。
ここでいう外部業者とは、管理会社の指定業者ではなく、居住者が自ら手配する修理業者です。
また、居住者が行う止水、使用停止、家財移動などを「応急対応」と表記します。
業者が行う止水、仮養生、設備の切り離しなどは「応急作業」です。
外部業者を検討できる条件
外部業者への応急作業を検討する前に、管理会社の緊急受付窓口へ連絡を試みてください。
そのうえで連絡がつかず、待つ間にも建物や他住戸への被害が広がっていることが判断の目安です。
たとえば、次のような状況が該当します。
- 大量漏水が続いている
- 汚水が室内へあふれ続けている
- 窓の破損部から雨水が入り続けている
- 煙や火花はないものの水濡れした電気設備の危険な状態が続いている
単に設備が使えないだけで、危険や被害拡大がない場合は、外部業者へ急いで依頼する必要は通常ありません。
次の三点を確認してください。
- 管理会社へ連絡したか
- 被害は今も広がっているか
- 待つことで建物や他住戸へ影響するか
水濡れした電気設備に関する作業は、電気工事に対応できる業者へ依頼する必要があります。
応急作業と恒久工事を分ける
管理会社の回答を待てない場合も、外部業者への依頼は、被害を止めるために必要な範囲へ限定します。
漏水の一次止水、汚水流出防止、危険配線の一時切り離しなど。
配管・本体の丸ごと交換、壁床開口。管理会社未確認で進めるのは不可。
応急作業には、漏水の止水、汚水逆流の停止、雨水流入を防ぐ仮養生、電気工事に対応できる業者による危険な電気設備の一時的な切り離しなどがあります。
一方、配管全体の交換、設備本体の交換、壁や床の広範囲な開口、内装の本復旧は恒久工事に当たる可能性があります。
被害が止まったら、その場で次の工事まで進めず、管理会社や貸主へ確認してください。
外部業者へ確認する料金と作業範囲
外部業者へ電話するときは、現在の症状と、応急作業だけを依頼したいことを伝えてください。
訪問前には、出張費、夜間料金、見積料、キャンセル料の有無を聞きます。
現地で作業を始める前には、作業内容と総額を書面で提示してもらってください。
被害を止める作業が終わった後、高額な設備交換を提案されても、管理会社や貸主へ確認するまで承諾する必要はありません。
「業者を呼んでください」と管理会社から言われた場合も、設備本体の交換まで承認されたとは限りません。
作業範囲、金額の上限、支払方法を個別に確認してください。
在宅できる場合は、作業内容を確認できるよう作業に立ち会います。
不在対応を依頼する場合は、作業範囲、連絡方法、追加作業の承認条件を事前に確認してください。
外部業者を呼んだときに残す記録
外部業者を呼んだ場合は、緊急性と作業範囲を後から説明できるよう、通常より詳しく記録してください。
管理会社へ電話した時刻、回数、つながったかどうかを残します。
留守番電話、メール、管理アプリの送信画面も保存してください。
漏水や汚水の状態は、作業前に写真や動画で記録します。
外部業者へ連絡した時刻、到着時刻、作業開始時刻、作業終了時刻も控えてください。
作業後は、作業報告書、見積書、請求書、領収書、作業前後の写真を受け取ります。
作業報告書には、次の内容を分けて記載してもらってください。
- 原因調査の結果
- 実施した応急作業
- 交換した部品
- 今後必要な恒久工事
管理会社への事後報告
安全が確保できた後は、できるだけ早く管理会社や貸主へ報告してください。
伝える内容は、発生日時、故障箇所、連絡を試みた時刻、外部業者を呼んだ理由、作業内容、現在の状態、支払額です。
時刻と事実を順番に整理すると、状況が伝わりやすくなります。
外部業者へ依頼した後の報告テンプレート
件名
【設備故障・応急作業の報告】○○マンション○棟○号室 漏水
本文
○○管理株式会社
ご担当者様
○○マンション○棟○号室の賃借人○○です。
本日○月○日22時10分頃、洗面台下から大量の漏水を確認しました。
22時12分から管理会社の緊急受付窓口へ3回電話しましたが、つながりませんでした。
漏水が継続し、階下への被害拡大が懸念されたため、22時25分に外部業者へ応急止水を依頼しました。
実施した作業は、漏水箇所の確認と応急止水です。
配管交換、設備交換、内装工事は行っていません。
現在は漏水が止まっています。
応急作業費用は税込○円です。
作業前後の写真、通話履歴、見積書、請求書、領収書、作業報告書を添付します。
原因調査と恒久修理の手配方法、応急作業費用の負担についてご回答ください。
氏名
電話番号
在室可能日時
以上、よろしくお願いいたします。
緊急時に支払った費用の扱い
居住者が外部業者へその場で支払っても、最終的な費用負担者が居住者に確定したとは限りません。
反対に、緊急だったという理由だけで、貸主や管理組合が必ず全額を負担するわけでもありません。
故障原因、契約内容、専有部分と共用部分の区分、居住者の故意や過失、作業の必要性、金額の相当性などを確認します。
管理会社へ連絡した履歴があるか、作業が被害を止めるために必要な応急作業へ限定されていたかも判断材料です。
管理会社には、応急作業のため一時的に支払ったことと、最終的な費用負担について確認を求めることを書面で伝えてください。
高額請求を受けた場合
「基本料金数百円から」「見積もり無料」などの広告を見て外部業者を呼んだ後、高額な作業を勧められるトラブルがあります。
訪問前に料金を確認し、作業開始前に総額を書面でもらってください。
不要な追加工事を急かされても、その場で承諾する必要はありません。
高額請求や強引な契約で困った場合は、消費者ホットライン188へ相談できます。
188へ電話すると、最寄りの消費生活センターなどにつながります。通話料がかかる場合があります。
契約の経緯によっては、作業後でもクーリング・オフなどを検討できる場合があります。
ただし、必ず適用されるわけではありません。
マンション設備の修理費と保険と事後対応
この章は、安全を確保し、応急対応や修理手配が済んだ人向けです。
ここからは、修理費、保険、家賃、緊急立入り、修理後に保管する書類について整理します。
「誰が払うか」をその場で決めるのではなく、原因、契約、管理区分、作業範囲、記録をそろえて判断することが重要です。
賃貸設備の修理費用
賃貸住宅では、借主の責任によらず、使用に必要な貸主設備に修繕が必要となった場合、貸主が修繕を行うのが原則です。
借主の故意や過失、誤使用、無断改造が原因であれば、借主負担になる場合があります。
契約で借主対応と定められた消耗品交換など、一部の日常的な維持管理を借主が行う場合もあります。
国土交通省の賃貸住宅標準契約書は、契約内容を検討するためのひな形です。
個別の契約へ、そのまま適用されるものではありません。
実際に締結した賃貸借契約書、設備表、特約、故障原因を確認してください。
貸主が修理しない場合
貸主へ修繕が必要なことを知らせた後も相当期間内に対応されない場合や、被害拡大を防ぐため対応を待てない緊急事情がある場合には、借主が必要な修繕を行えることがあります。
ただし、借主が修繕を行えるかという問題と、支払った費用の全額を貸主へ請求できるかという問題は別です。
通知状況、緊急性、作業範囲、金額の相当性を記録してください。
個別の契約内容や事情によって判断が異なるため、高額な工事へ進む前に管理会社、貸主、専門家などへ確認します。
分譲マンションの修理費用
共用部分の修繕は、一般に管理組合が実施します。
ただし、実際の費用の支出方法や原因者への請求の有無は、管理規約、総会決議、事故原因などによって異なります。
専有部分の設備は、原則として区分所有者が管理し、費用を負担します。
実際の区分や一体修繕の扱いは、管理規約、総会決議、設備構造、故障原因を確認してください。
管理会社は、故障の受付や業者手配を担当していても、当然に修理費を負担する主体ではありません。
見積書は作業別に分ける
見積書は、原因調査、応急作業、恒久修理を分けてもらいます。
漏水事故では、出張費、夜間料金、止水作業、配管修理、内装復旧などが、一つの金額にまとめられていることがあります。
誰がどの費用を負担するかを確認するため、項目ごとの内訳を求めてください。
見積書や請求書には、次の内訳を記載してもらいます。
- 出張費
- 夜間料金
- 調査費
- 応急作業費
- 部品代
- 恒久修理費
- 内装復旧費
領収書には、支払額と作業名が分かるようにしてもらってください。
自分が一時的に費用を支払った場合でも、最終的な費用負担者が確定したとは限りません。
見積書、請求書、領収書、作業報告書、作業前後の写真は、一時支払いの内容や作業範囲を確認できるよう保管します。
交換した部品を受け取れる場合は、管理会社、業者、保険会社へ処分方法を確認するまで保存してください。
部品が汚染されている場合や鋭利で危険な場合は、無理に保管せず、写真を残したうえで処分方法を確認します。
家賃を自己判断で差し引かない
借主の責任によらず、賃貸物の一部が使用不能となった場合は、法律上、使用不能部分の割合に応じた賃料減額が問題になります。
ただし、設備故障の場合の具体的な割合や期間は、使用不能の程度、生活への影響、代替手段、修理期間などを踏まえて確認する必要があります。
設備が不調というだけで、直ちに具体的な減額額が決まるわけではありません。
借主が自己判断で任意の金額を差し引くと、家賃滞納をめぐる争いになる可能性があります。
故障の発生日、設備を使用できなかった期間、修理日、生活への影響、代替手段の有無を記録し、貸主や管理会社へ書面で確認してください。
保険会社へ連絡するときの準備
漏水で床や家財が濡れた場合や、階下へ被害が及んだ可能性がある場合は、自分の保険会社や代理店にも連絡します。
連絡する前に、次の情報を確認してください。
- 契約者名
- 証券番号
- 発生日時
- 発生場所
- 故障箇所
- 原因が判明しているか
- 建物への被害
- 家財への被害
- 階下や他住戸への被害
管理会社や修理業者の連絡先、写真、動画、見積書、作業報告書がある場合は、そのことも伝えてください。
賃貸入居者は、家財の損害を補償する契約、階下など第三者への損害に備える個人賠償責任特約、貸主に対する賠償に備える借家人賠償責任の補償内容を確認します。
名称や補償範囲は保険商品によって異なります。
個人賠償責任特約が、借りている部屋の貸主に対する賠償まで補償するとは限らないため、保険証券や約款を確認して保険会社へ連絡してください。
区分所有者は、専有部分の建物保険に加え、管理組合が契約している共用部分の保険も確認してください。
保険の対象は、建物、家財、階下への賠償、故障した設備そのものなどで異なります。
経年劣化や設備そのものの故障は、補償対象外となる場合もあります。
緊急の被害拡大防止を除き、恒久修理を進めたり、被害を受けた物を処分したりする前に、必要な写真、書類、現物の保存方法を保険会社へ確認してください。
入居者が不在の場合と緊急立入り
修理業者の訪問時間に在宅できない場合は、立ち会いが必要かを管理会社へ確認します。
鍵を預ける場合は、誰が受け取り、いつ返却するのかを確認してください。
漏水などで他住戸や共用部分へ重大な影響が及ぶおそれがある場合は、区分所有法や個別の管理規約に基づき、管理組合側から立入りや保存行為の実施を求められることがあります。
緊急に対応しなければ共用部分や他住戸へ重大な影響が及ぶ場合には、個別の管理規約に従い、理事長またはその委任を受けた管理会社・指定業者などが立入りや応急作業を行うこともあります。
管理会社や修理業者が独自の判断でいつでも自由に入室できるわけではありません。
誰が立入りや保存行為を行えるか、どのような手続きが必要かは、法律、管理規約、契約、委任関係によって異なります。
マンション標準管理規約は規約例であり、自分のマンションへそのまま適用されるものではありません。
現在有効な管理規約を確認してください。
緊急立入りが行われた場合は、次の内容を管理会社へ確認します。
- 入室した人
- 入室時刻
- 作業箇所
- 作業内容
- 作業終了時刻
- 施錠方法
鍵を預ける場合も、誰が受け取り、いつ返却するか、作業後にどのように施錠するかを事前に記録してください。
修理完了時に確認すること
修理が終わったら、業者の説明を受け、安全を確認したうえで設備を動かしてください。
漏水、異音、異臭が残っていないかを確認します。
応急作業だけで終わっている場合は、恒久修理の日程と、それまで使用してよい範囲を聞いてください。
壁や床を開口した場合は、仮復旧なのか、本復旧まで完了しているのかを確かめます。
交換した部品、実施した作業、故障原因について説明を受けてください。
原因がまだ分からない場合は、今後どのように調査するかも確認します。
費用負担者が確定しているか、原因調査後に決まるのかも確認してください。
次の資料は一か所にまとめて保管します。
- 見積書
- 請求書
- 領収書
- 作業報告書
- 保証書
- 作業前後の写真
- 通話履歴
- 管理会社とのメール
- 保険会社との連絡記録
最後に、修理後の保証期間と、同じ症状が再発した場合の連絡先を確認してください。
修理前と比べて何が変わったかを確認できれば、対応は一段落です。
マンション設備故障時によくある質問
管理会社より先に119番へ連絡してもよい?
炎、煙、火花、負傷者、差し迫った感電の危険など、人命に関わる危険がある場合は119番を優先してください。
焦げ臭さや異常発熱だけがあり、炎や煙を確認できない場合も、設備の使用を中止して離れます。
煙、火花、炎が生じた場合、負傷者がいる場合、差し迫った感電の危険がある場合は、119番へ連絡してください。
管理会社には、安全を確保した後で報告します。
管理会社につながらないときは業者を呼べる?
待つ間にも漏水や汚水被害が広がる場合は、被害を止めるための応急作業に限って検討します。
管理会社へ連絡できないだけでは、外部業者へ高額な恒久工事を依頼する理由にはなりません。
水濡れした電気設備に関する作業は、電気工事に対応できる業者へ依頼してください。
先に業者を呼ぶと全額自己負担になる?
必ず自己負担になるわけではありません。
一方、緊急時に依頼した費用が、必ず貸主や管理組合の負担になるわけでもありません。
緊急性、作業範囲、金額、故障原因、契約内容、管理区分などによって判断が異なります。
通話履歴、写真、作業報告書、見積書、請求書、領収書を保存してください。
備え付け設備と残置物の違いは?
室内に設置されている設備でも、貸主が修繕する設備か、残置物として扱われるかは契約内容によって異なります。
賃貸借契約書の設備表と特約を確認してください。
設備故障で家賃は減額される?
借主の責任によらず、賃貸物の一部が使用不能となった場合は、使用不能となった期間について賃料減額が問題になります。
ただし、具体的な期間や金額は、故障した設備、使用不能の程度、生活への影響、代替手段、修理状況などを踏まえて確認する必要があります。
設備が使えなかった期間、修理日、生活への影響、代替手段の有無を記録し、貸主や管理会社と書面で確認してください。
具体的な減額額を借主が自己判断で家賃から差し引くと、家賃滞納をめぐる争いになる可能性があります。
「設備の故障時、焦って勝手に高額な交換業者を呼んでしまうと、契約上費用が自己負担になるトラブルが後を絶ちません。まずは止水などの応急処置を行い、管理会社や緊急窓口へ連絡することが費用トラブルを防ぐ最大のポイントです。」
Q1. 賃貸で夜間に水漏れが発生した場合の最優先手順は?
Q2. 勝手に外部業者を手配した場合、修理費用は自己負担になりますか?
Q3. エアコンや給湯器が壊れた場合、家賃は自動的に減額されますか?
平常時に備えて確認すること
故障が起きてから契約書や電話番号を探すと、必要な情報がすぐに見つからないことがあります。
管理会社の緊急受付窓口と通常受付窓口、貸主、ガス漏れ専用の緊急窓口、エレベーターの保守窓口をスマートフォンへ登録しておきましょう。
止水栓、住戸の元栓、分電盤、ガス栓の位置も、安全に確認できる平常時に把握しておきます。
給湯器、エアコン、インターホンの型番を撮影しておくと、故障時の説明が早くなります。
保険証券、賃貸借契約書、設備表、管理規約、入居案内も、すぐ確認できる場所へまとめてください。
すべてを一度に準備する必要はありません。
まず管理会社の電話番号を登録する。次に元栓の位置を確認する。
一つずつ備えれば、設備が故障したときに迷う時間を減らせます。
まとめ
マンション設備が故障したら、原因や費用を急いで決める必要はありません。
まず30秒判断表で、人命に関わる危険と被害拡大の有無を確認してください。
炎、煙、火花、負傷者、差し迫った感電の危険がある場合は、設備へ触れず、安全な場所へ避難して119番へ連絡します。
焦げ臭さや異常発熱だけがある場合も、設備の使用を中止して離れてください。煙、火花、炎が生じた場合、負傷者がいる場合、差し迫った感電の危険がある場合は119番へ連絡します。
ガス臭がする場合は、火気や電気スイッチへ触れず、臭いの強弱にかかわらずガス漏れ専用の緊急窓口へ連絡してください。
給湯器では、ガス臭、黒煙・炎・火花、焦げ臭さ・異常発熱、異常音・エラー表示によって対応が異なります。設備名だけで判断せず、今起きている危険の種類を確認してください。
危険がなく、安全に操作できる場合だけ止水や使用停止を行います。被害が止まったら写真や発生時刻を記録し、契約形態と設備区分に合った窓口へ連絡してください。
管理会社につながらず、待つ間にも建物や他住戸への被害が広がる場合だけ、被害を止めるための応急作業に限定して外部業者を検討します。
水濡れした電気設備に関する作業は、電気工事に対応できる業者へ依頼してください。
設備交換や大規模な工事は、被害が止まった後に、管理会社や貸主と作業範囲や費用を確認してから進めます。
修理後も、見積書、請求書、領収書、作業報告書、保証書、写真、連絡履歴を保管してください。
保証期間や再発時の連絡先も確認しておけば、その後の費用確認や保険手続きへ対応しやすくなります。
責任や費用をその場で決めるのではなく、人命、安全、被害拡大を基準に一つずつ対応することが、危険な操作や不要な契約を避けることにつながります。