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外壁タイルの浮き率2~3%が示す施工不良リスクと10年ごとの打診義務で安心管理を実現

外壁タイルの浮き率2~3%が示す施工不良リスクと10年ごとの打診義務で安心管理を実現

はじめに

あなたの住まい、外壁のタイルが突然「パカッ」と落ちてきたら──。

そんな場面を想像しただけで、少しゾッとしませんか?

見た目の問題だけではなく、外壁タイルの剥離は人命や資産価値に関わる問題です。

特に、国土交通省の調査でも「浮き率2~3%」が許容範囲とされる一方で、これを超えると施工不良が疑われるとの報告も。

私自身、管理組合に依頼されて現場調査に入った際、タイルの隙間に指が入るほど浮いていた壁面に唖然とした経験があります。

見た目には分からないからこそ、放置しがちなのがこの問題。

けれど放っておけば、いずれ大規模修繕の費用がどんと跳ね上がる未来が待っているかもしれません。

さらに、浮いたタイルが落下して歩行者に当たると、最悪の場合、生命に関わる事故にもなりかねません。

実際に、過去には外壁の落下物によって重傷を負ったという報道もあり、見過ごせない問題なのです。

この記事では、外壁タイル剥がれの兆候、調査手法、補修と責任の所在を現場の体験談とともに解き明かしていきます。

想定読者は、マンション管理組合の役員や戸建て住宅のオーナー、リフォームを検討中の方々。

明日は我が家の話かもしれません──そんな想いで読んでいただけたら幸いです。

外壁タイル浮き率の現状と法定調査義務

浮き率2~3%前後が大規模修繕時の目安とされる理由

タイルの浮きは、0%でなければ危険──と考えてしまいがちです。

しかし実際には、新築後10年を超える建物では「浮き率2~3%」がある程度許容されるラインだとされています。

これは、建物調査会社や専門業者の間で実務的な基準として流通している数値です。

とはいえ「目安」と「安全」は同義ではありません。

私が携わったある築14年の物件では、2.8%の浮きが確認されました。

数字だけ見ればセーフゾーン。

でも実際は、風雨の影響を受けやすい東面でタイルが集中して浮いていたのです。

音で「コンコン…パカッ」と分かるような状態。

人が歩く導線の真上という場所もあって、即補修に踏み切りました。

例えば、BELCA(建築・設備維持保全推進協会)の基準では「経年×0.6%」が健全の目安とも言われています。

築15年なら9%までが上限。

その意味では、2〜3%は軽度。

でも浮きが集中的に出ていれば、その建物の劣化傾向を疑う必要があるのです。

数値を「点」ではなく「面」で見てください。

点検データの地図化は、まさにその意図に役立ちます。

加えて、調査報告では各面の浮き状況をカラーで可視化することで、居住者や理事会にも伝わりやすくなります。

一度、築20年の建物で「浮き率1.5%だから問題ない」と施工会社に言われた現場がありました。

ところが地図を見ると、南面のベランダ下だけで1.4%を占めていたのです。

そこには高齢者の出入りが多い集会室の出入口があり、速やかに対応が必要と判断しました。

安心とは、数字だけでは測れないと痛感した一件でした。

(出典:建築・設備維持保全推進協会(BELCA)

建築基準法第12条で定める3年毎の部分調査と10年毎の全面打診義務

「ウチはまだ大丈夫」。

この言葉を何度、管理組合から聞いたことでしょう。

ですが、建築基準法第12条では、外壁調査の義務が明記されています。

部分調査は3年ごと、そして全面打診は10年ごとに実施しなければなりません。

「法律で決まってるの?」と驚かれることも多いのですが、これは2008年のタイル剥落事故を機に強化された制度です。

たとえば、国土交通省の「外壁タイル等の調査・補修に関するガイドライン」では、調査手法・判定基準が具体的に明記されています。

(出典:国土交通省「建築物の外壁調査に関する技術的助言」

私の現場でも10年を超えて未点検だったケースでは、4%を超える浮き率が発見されたこともあります。

「放置はリスクだ」と口酸っぱく言いたくなる瞬間です。

とはいえ、全面打診には足場や費用の問題が伴います。

実際に、仮設足場だけで数百万円のコストが発生することも。

だからこそ、調査計画の立案と予算組みを前倒しで進めるのが鍵。

定期点検を繰り返すことで、異常が小さなうちに対処できる確率も上がります。

さらに、近年では部分打診と赤外線調査を組み合わせるハイブリッド型の点検も注目されています。

現場によっては「リスクの高い面だけピンポイントで打診し、その他は赤外線で広くカバーする」方法も効果的です。

予算を抑えつつも法令を満たす戦略として、これから主流になる可能性があります。

備えは未来の安心をつくります。

令和4年改正でドローン赤外線調査が打診と同等の精度と認定された背景

空から「ジリジリ…」と熱を探知するドローン。

その正体は、赤外線調査の新技術です。

令和4年の国交省通達で、この赤外線による非接触調査が打診調査と同等の精度を持つと認められました。

(出典:国土交通省「外壁タイル等の全面調査技術に係る技術検証結果」

高所作業車も足場も不要。

たとえば築12年の中規模マンションで、打診と赤外線の両調査を比較したところ、判定一致率は約93%にのぼりました。

現場の肌感覚としても、日照条件さえ整えば十分に信頼できます。

ただし、日陰・凹凸の多い壁面ではノイズが出やすいという声も。

実際、私が試験導入した際も、北側壁面では判定誤差が出ました。

なので、調査対象や目的に応じて使い分ける柔軟性が必要です。

「赤外線なら安くて簡単」と一概には言えません。

ですが、たとえば「全面調査に200万円かかる」として、赤外線で半分を代替できれば、その分のコストを他の補修費に充てることができます。

また、調査結果は画像として残るため、理事会や住民への説明材料としても有効です。

一枚のサーモグラフィが「見えない不安」を「見える納得」に変える──。

それは、これからのメンテナンスの在り方を変える一歩だと私は思います。

経年劣化と施工不良を見極める診断基準と調査手法

BELCA基準の浮き率は築年数×0.6%/年が健全維持の指標

浮き率の判断基準って、意外とあいまいだと思いませんか?

実際のところ、国が明示的に「ここまでOK」とは言っていないんです。

そこで多くの管理会社や調査業者が参考にしているのが、BELCAの基準。

建物の築年数に0.6%をかけた数値を健全な浮き率の目安とする方法です。

たとえば、築10年なら6%、築20年なら12%までが妥当とされます。

でもこの計算方法、実は私も昔「本当に大丈夫?」と感じたことがありました。

というのも、築13年のマンションで7.5%の浮きがあったにもかかわらず、施工会社は「許容範囲です」と言い切ったんです。

しかし実際には、1階のエントランス周辺に集中していて、誰が見ても放置は危険な状態。

結局、その現場では自主的に全面補修することになりました。

浮き率の数字だけに頼らず、どこに、どのように浮きが出ているのかを可視化して判断することが重要です。

(出典:建築・設備維持保全推進協会(BELCA)

裁判例で浮き率7.4%が施工不良と判断された実例

数字の話だけでなく、法的な裏付けも知っておきたいところです。

実は、浮き率が施工不良とみなされた裁判例も存在します。

そのひとつが、築年数に比して高すぎる7.4%という浮き率が争点になった事例。

最終的に、設計・施工の瑕疵と判断され、事業者側に補修責任が認められました。

こうした事例は、管理組合にとって非常に参考になると思います。

もちろん、数値だけで裁かれるわけではありません。

問題は、その浮きが構造的に重大な欠陥と結びついているかどうか。

私が関わった現場でも「6%台だから大丈夫」と施工会社が主張したものの、立体駐車場の上部で、車への落下リスクがあったため、補修に至ったケースがあります。

数値はただのスタートラインです。

最終判断は、現場の状況と危険性の総合判断で決まるのだと感じます。

打診調査と赤外線ドローン調査の精度とコスト比較

さて、調査方法についても迷う方は多いのではないでしょうか。

「打診でやるか?」「赤外線でいいのか?」と悩んでいる管理組合の声は少なくありません。

結論から言うと、それぞれに長所と短所があります。

打診調査は、直接打って音を聞くので信頼性が高い。

でも足場が必要で、時間とコストがかかるのが難点。

一方、赤外線ドローンは非接触でスピーディー。

高所でも安全に確認できるという利点があります。

ただし、外気温や日照条件に左右されやすく、撮影精度にブレが出ることも。

(出典:外壁赤外線調査技術検証結果(国土交通省)

実際に、赤外線調査だけでOKという現場もあれば、「やっぱり怪しいから打診で再確認しよう」となることもありました。

私のおすすめは、赤外線で全体を把握し、異常が多い面だけを打診で詳細調査する方法です。

費用を抑えつつ、リスクの高い箇所はしっかり見極める。

それが、予算と安全性のバランスを取る上で現実的な手法だと思います。

補修対応と法的責任を踏まえたコスト抑制の戦略

アフターサービス2~5年と瑕疵担保責任10年までの請求可能性

マンションを購入したあと、意外と知られていないのが「保証の期間と範囲」です。

多くの方が「10年保証がある」と思っていますが、実際は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」に限定されています。

その一方で、内装や外装の不具合についてはアフターサービスとして別に定められており、期間は2〜5年が一般的です。

つまり、外壁タイルの浮きや剥がれが施工不良に起因するものであっても、10年を超えると請求が難しくなることがあるのです。

この点を曖昧なままにしてしまうと、「知らなかった」「気づかなかった」と後悔する場面に直面することになります。

私が担当した築9年のマンションでは、外壁に多数の浮きが見つかりました。

打診調査と写真記録を用いた詳細な報告書を施工会社に提出し、「保証期間内」という判断で無償補修を受けることができました。

しかしそのわずか2年後、別の現場では築11年目で同様の浮きが確認され、保証対象外とされてしまいました。

「あと2年早ければ…」という住民の声が印象に残っています。

保証の活用には、早期発見・迅速な対応が何よりも鍵となるのです。

加えて、アフターサービスの詳細は契約書とは別紙になっていることが多く、施工会社や販売元によって内容も異なります。

戸惑わずに対応するためにも、引き渡し時に保証書類を必ずファイリングし、年度ごとに点検スケジュールを記録しておくことをおすすめします。

(出典:国土交通省「住宅品質確保促進法」

10年目超〜20年まで不法行為責任による交渉とリスク判断基準

「10年を過ぎたからもう終わり」と思い込んでいませんか?

実は、民法上の不法行為責任という制度が存在します。

たとえば、10年以上経過したあとに発覚した外壁の剥離が、明らかな施工ミスや監理不備に起因していた場合。

「引き渡し時点で既に欠陥があった」と立証できれば、損害賠償を求められるケースもあるのです。

ただし、不法行為による請求は発見から3年以内、または引き渡しから20年以内が条件となります。

この「3年」と「20年」は絶対的な制限であり、それを超えると裁判所は受け付けてくれません。

築18年の物件で実際に施工ミスが明らかになった現場では、第三者機関の詳細な報告書が決め手になり、補修費の一部を業者に負担してもらうことができました。

重要なのは、感情ではなく事実。

当時の施工図、検査記録、写真データ──これらの蓄積が交渉を後押しします。

逆に、こうした資料が揃っていなければ「証明できないから対応不可」となるリスクもあります。

管理組合には、住民の利益を守るための冷静さと根気が求められます。

「訴訟なんて大げさだ」と敬遠されがちですが、事実と根拠があれば、示談交渉で解決するケースも多いのです。

点検のたびに調査報告を保管し、疑わしい変化があれば迷わず行動すること。

それが10年を超えても住まいの安全を守る力になります。

調査結果を根拠に管理組合が施工業者と交渉する方法

交渉には準備がすべてです。

感情的なアプローチよりも、資料とロジックで迫る方が効果的だと実感しています。

まずは第三者の専門調査を依頼し、浮き率や部位の特定、施工ミスの有無を明らかにすることが最優先。

「感覚」ではなく「事実」で話すためです。

たとえば、国交省の調査マニュアルでは、調査結果を写真・音響・温度など多角的な方法で記録することが推奨されています。

(出典:国土交通省「外壁タイル等の調査・補修に関するガイドライン」

次に行うのは、保証書や施工契約書の再確認。

保証内容や責任の所在を明文化した条項をチェックし、不具合と照らし合わせて交渉材料にします。

そのうえで、理事会や住民と共有し、交渉の方向性を固めていく。

一度、住民の感情的な抗議が先行してしまい、施工業者との信頼関係が悪化したケースを経験しました。

冷静で論理的な主張、そして適切な資料の提示ができるだけで、話し合いの土台は大きく変わります。

書類の整理、写真の保存、調査報告書の読み込み。

それに加えて、交渉の議事録を残すことも非常に大切です。

「言った・言わない」を避けるため、記録はできる限り詳細に行いましょう。

さらに、可能であれば弁護士や建築士などの専門家に一度目を通してもらうのも有効です。

管理組合単独では限界がある部分を、外部の知見で補完することが円滑な解決につながります。

「相手に逃げ道を与えない」ことが、円滑な交渉を進める最大のポイントです。

まとめ

外壁タイルの剥がれや浮きは、単なる見た目の問題ではなく、構造的なリスクと経済的損失を引き起こしかねない深刻な課題です。

この記事で取り上げたように、浮き率の数値だけを鵜呑みにするのではなく、その分布や発生箇所の状況を含めて判断する視点が求められます。

また、打診調査や赤外線ドローンなど技術の進歩を活用すれば、調査精度とコストのバランスも取りやすくなります。

法定点検や保証制度の適用範囲も踏まえ、早期に不具合を把握して動くことが、結果的に大規模修繕の回避にもつながります。

とくに10年を過ぎた建物については、アフターサービスだけでなく、不法行為責任の観点からも可能性を探る姿勢が大切です。

個人的な経験からも、調査報告書や保証内容を「読んだつもり」で済ませず、複数人で確認し合う習慣がトラブルの芽を摘み取る鍵になってきました。

「うちは大丈夫」と思っているうちに、小さな浮きが落下事故につながるケースもあります。

安全は気づいた瞬間から守ることができる──その視点で日常点検や定期調査を見直してみてください。

結果として、住まいの寿命を延ばし、資産価値を維持する最善の策となるはずです。

安心と納得の住環境を手に入れるために、できることから一歩踏み出していきましょう。

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